OKサトウタナカ

その時々の興味あることを節操なく書き綴っていきます。

布袋寅泰 ロンドンライブの感想 ―20年の蓄積―

 You tubeにWOWOWオフィシャルのライブ映像がアップされていたのに、なぜか非公開になってしまった。昨夏にロンドンへ移住して、日本との往復生活を始めた布袋寅泰。世界進出は、ソロデビューアルバム「GUITARHYTHM」から考えていたが、ようやく50歳を迎えて態勢が整ったところ。先日、WOWOWの無料視聴時間帯にダイジェストで放送された1時間強のライブを見た。会場は、ロンドンのO2 Shepherd's Bush Empire。ベースにジャズ畑のトニー・グレイを入れたのは当たりで、本人が「ギターの自由度が増した」とコメントしていたけどその通りだったと思う。ドラムのザッカリー・アルフォード、パーカッションのスティーブ衛藤との相性もばっちし。キーボードとプログラミングの岸利至は、もう外せないのかな。長い間、一緒にやってきているけど、どうもしっくりこない。悪くはないんだけど、他にもいるだろ。凡庸なんだよ、この人の作る音は。

 歌を減らしてインストが多かったのは、JAZZを意識したからか。アンディ・マッケイ(ロキシーミュージック)との"SLOW MOTION"はこの曲が持つ素晴らしさをすべて引き出したような演奏だった。自分がいちばん盛り上がったのは、20年前に作ったアルバム"GUITARHTYHM 3"の"ELECTRIC WORRIORS"で一緒にギターを弾いたマイク・エドワーズとの共演だった。布袋のテレキャスターを弾くマイクが日本語で布袋と一緒に歌うシーンは、懐かしさもあったがお互いの時間の積み重ねを感じた。バンドが今の音を鳴らしているから、ノスタルジーは感じない。間奏のトニー・グレイのベースがそれを表していた。

 自分は飽きっぽい。だから昔のように熱くはなれないが、少年ジャンプのようにとりあえず買うのではなく、それなりに聞き続けているのが布袋寅泰。ツイッターで「やっぱりJAZZだな。ロックギターのフレーズに飽きた。」とつぶやいていたのは、音楽を世界中に伝えるには、言葉自体が障壁なっているという思いがあったのではないだろうか。日本ではどうしても、兄貴キャラを演じなければならない部分があるが、海外ではそんなことは気にせず、自分の弾きたい音楽を求め続けられるだろう。ギアをあげながらもじっくりギターを弾いてほしい。先のロンドンライブは、時間と金があったらトンボ帰りでもいいから観たかった。それほど濃密なステージだとテレビ画面を通して強く感じた。