受験戦争で学んだのは我慢だ。
この本が店に入ってきた時は、深刻な状況になっていると思った。表紙の新人君は、「あぁおー 聞きたいんだけどぉ 俺、何飲むべきぃ?」と友人か彼女に聞いている。私はこんな新人を見たことないが、自分で決められない人が増えているからいそうな気はする。著者は、ゆとり世代を戦力化するコンサルタントで悩む管理職や人事部へアドバイスを行っている(本のプロフィールより)。人事評価に関わるから「そんなのクビすればいい」とはいかないし、「なんでこんな新人よこした」と部長や課長から人事部にクレームがくるだろうから、コンサルトの依頼が絶えないのだろう。
今日、レジで店長と話していたら、この話題になった。
「ゆとり世代の部下を見て思うことは“我慢”が足りない」
店長の後輩は、部下を持って日々それを感じているらしい。原因は厳しい受験戦争を体験していないからだと。これは自分にも言えるから頷けないし、耳が痛い。競争に勝つために取捨選択をして、ある期間は我慢して受験勉強にする。受験勉強の弊害からゆとり教育になり、また脱ゆとりに戻ろうとしているいま、これは真理を突いている。受験戦争を勝ち抜いて大学に入り、卒業後は社会人になり15年経った。あの時を振り返ると、知識はもちろんだけど、実は我慢する力を修練したことが最大の収穫だったというのは、実におもしろい。後輩の肩書きは申し分ないので、ビジネス書として出せば売れると思う。だが、現実はさらに混迷している。
さとり世代 盗んだバイクで走り出さない若者たち (角川oneテーマ21)
- 作者: 原田曜平
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2013/10/10
- メディア: 新書
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尾崎豊「15の夜」の歌詞に出てくる若者はもう出てこないのだろうか。書店員らしく、本の話題から言葉を拾ってみた。